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2025.03.10
【ライブレポ】音が、声が、横浜の夜をひねり上げる:CiON

2025年2月15日(土)、CiONのワンマンライブ「THIS IS CiON」がパシフィコ横浜国立大ホールで開催された。
CiONはAIKA、SHION、SEINA、KAKO、AMIによる5人組ガールズユニット。ボーカル2名と楽器3名の編成で、その迫力のあるパフォーマンスとビジュアルの高さから注目が集まっている。
2024年10月にグループの改名、12月に路上ライブのトラブルによる活動自粛と、激動の下半期を経て迎えた今回のライブは、CiONにとって運命をにぎる大一番であった。
誠心誠意の謝罪、最上級のパフォーマンス、そしてメジャーデビューへのリベンジ。
いまCiONが伝えたいすべてをメロディーと言葉にのせた本気のパーティタイムは、観客の心を鷲掴みにして片時も離さなかった。
セカイベでは、そんな彼女たちのステージを熱気そのままにレポートでお届けする。
text:ガブリールまっすー
photo:ヨシモリユウナ、高田梓
CiONとは音である

今回のライブは全編バックバンドとともにお送りするという。AMIのピアノにバックバンドの音が加わり、少しずつ賑やかになっていく。SEINAとKAKOが登場し、存在感のある力強い音が加わる。「CiON、パシフィコ横浜、始まるよー!」ボーカルの2人が意気揚々と登場し、そのまま1曲目の「Last Order」がスタートした。
大きな会場が一気にCiONの空気に染まる。彼女たちの音によって、身も心も支配されていくのを感じた。ピンクライトに照らされたSHIONは令和のマリリン・モンローか。その挑発的な声に、視線に、今夜だけは全てを委ねてみるのも面白いかもしれない。
AIKAは魔性が止まらない。ビブラートの利いたロングトーンと、ささやく吐息を変幻自在に使い分ける。観客からは拍手の嵐。指笛のような歓喜の音も聞こえる。これがCiONのライブなのか。こんなステージ、見たことない。

続いての楽曲は「等身大ガール」。「昨年は大変お騒がせしました! 今年は気を引き締めて、CiON頑張りまーす!」とAIKAが叫ぶ。このライブはCiONにとって、昨年の騒動の反省の気持ちを伝え、パフォーマンスで返していくんだという意味合いも大きいのだろう。
極彩色のレーザーがフロアを切る。SEINAとKAKOの絞るような音が耳をつんざいて脳を揺らす。大きく手を振り乱すその様子は、「まぁ いっか」「どっかでダラけていたいよ」という等身大すぎる自分たちの邪をかなぐり捨てようと、もがいているようにも受け取れる。気持ちの乗ったパフォーマンスは、こんなにも人の心を動かすんだと身をもって感じた。
ここでアップテンポな「鼓動PARADE」のイントロが流れ、フロアの雰囲気がすっと軽くなる。SHIONの底抜けに明るい笑顔に癒される。間奏ではメンバーがステージを縦横無尽に走り回り、クラップの渦に観客を引き込む。その輪はどんどん広がりを見せ、ピアノ担当のAMIやバンドメンバーをも巻き込んでいく。
一般的にパレードというものはハメを外して盛り上がるものだと思っていたが、CiONはその狂騒のなかに上品さがあり、オシャレだ。けれども、身体が踊り出すような高揚感はピカイチで、しっかり楽しい。そのメリハリのあるお祭り感は、まさにCiONの真骨頂というべきだろう。

ここで、最初のMC。自己紹介での挨拶には”恩返し”や”感謝”の言葉が多かったのが印象的だった。多くのアイドルはこのような場面で「歌とダンスで」想いを表現するというが、CiONは「音で」気持ちを伝えていくという。そこに音を紡いでいく職人としての矜持が垣間見えた。「今回のワンマンライブで、虜になっちゃうと思います。音楽で楽しませたいと思います」とSHION。これこそがCiONの生き様なのである。
女神の色仕掛け
「この曲は知ってる方も多いと思います」という紹介で始まったのは、カバー曲「エロティカ・セブン」だ。彼女たちらしくJazzyにアレンジされているのが最高のスパイスになっている。再び照明はピンク色。身体をくねくねと揺らし、尻尾をふる女豹のように獲物を狙う。がなりの効いた歌声で牙をむいたかと思えば、時に甘いささやきで野生の爪をそっと隠す。ボーカルの2人が舐めるように絡みつき、サックスの音がそのセクシーをはやしたてる。ここは天国か、地獄か。ステージで繰り広げられる淫獣のサーカスは、彼女たちの高い表現力があってこそのものであろう。

その余韻のなか始まったのは「Addiction」。まずはスタンドマイクでの歌唱から始まる。この楽曲では、特に最年少AIKAの憑依型のパフォーマンスが輝いていた。「嫉妬は見せないせめてのPride」肘をついて寝そべりながら歌うあのソロパートは、本当に神懸っていたと思う。背景のスクリーンに映し出されるモノクロームの表情は果たしてAIKA本人なのだろうか。ライブも中盤戦、幻覚を見てしまうくらいにはCiON中毒の沼にハマっていたらしい。AMIの畳みかけるようなピアノの螺旋にくらくらする。もうしばらく抜け出すことはできない。
うねる、うねる、うねる

ここで2回目のMC。バックバンドの演奏にテンションがあがっているメンバーたち。SEINAが「そろそろカッコいいCiONみたいですよね?」と観客に投げかけると、大きな拍手が返ってくる。そんなカッコいいブロックは「月逢夜」からスタートする。背景には都会のビル群の上に昇った大きな満月が映し出される。ハモりが美しい。管楽器のつねるような音が腹の底をえぐる。終電間際、深夜に恋焦がれる女性を描いた楽曲にCiONの奏でる音がよく似合う。BARでカクテルを煽りながら、物憂げな表情をする女性が脳裏に浮かび上がった。

ドラムの弾けるサウンドに導かれて始まったのは「SHAKE」。軽快なリズムに、多幸感のあふれるポップなメロディー。メンバーもニコニコの笑顔で愛想を振りまく。自由闊達にステージを行ったり来たり、なんだかとても楽しそう。お客さんも総立ちになり、クラップで一丸となっていく。コールアンドレスポンスに巻き込んでくれてありがとう。会場のボールテージはこの日の最高地点に達したようだ。最後のKAKOのソロがチョーベリベリ最高。しあわせな気分さ。

KAKOのサックスの音色をそのままに引き継いでイントロに突入した「Now or Never」では、ピアノ担当のAMIも立ち上がって、フォーメーションダンスに参加。緑のレーザーがびゅんびゅん飛び交うなか、フロアはトランス状態へ。楽器を持ったまま大きく振り回すダイナミズムに視線は釘付けだ。この一瞬一瞬を音に込めて、今できる精いっぱいを。心なしか、ずどんずどんと音符のひとつひとつに圧を感じる。本気の人にしか出せない重みがあった。

すでにライブ本編は終盤戦。どんどんギアが上がっていく。「想像を越えた快楽を 教えてあげる」AIKAは結わえた髪の毛を艶めかしくほどく。「MAHORAMA」の開幕だ。完全に空間はCiONのペース。この黒い立体を、声と音で掌握している。交錯する赤が独壇場と化したCiONのショータイムを祝福するかのように照らす。これまでよりも増してSHIONの高音が響き渡る。鬼気迫った表情のAIKAが緊張感の糸を綱渡りする。うねる、うねる、うねる。ここは素晴らしい場所。うねる、うねる、うねる。めちゃくちゃなまでのやりたい放題。SEINAが吹きながらぐるっと回る。ここだけの秘め事は激しくて、汗をかくくらい疲れた。ちょっと引いた。でも気持ちよかった。

ストロボのような眩い光の点滅に誘われて始まったのは「S;ckkkkk」。まぶしすぎて前が見えない。方向感覚を失いそうだ。それでも、観客は音のする方を追いかける。こぶしを突き上げる。爆発する前の緩急の歌声が憎い。光と闇の狭間に神々しく浮かび上がる5人のシルエット。AIKAの”Scream!”で再び本公演の最高到達地点が更新されてしまった。

そして、熱気冷めやらぬまま「Noisy」の歌唱に。少し不穏なイントロが僕らの胸騒ぎをメラメラと搔き立てる。温度の上がりきった青白いレーザー。きりっとした眼光が闇を切り裂く。ここが最後の真剣勝負。パフォーマンスに定評のあるCiONが、その全ての魂をぶつけてくる。その波に乗っかって観客も心臓を捧げる勢いで騒ぐ。圧倒的な一体感。激しくかき乱しているようで、真っ直ぐな音の調べがある。「これが、CiONだー!」とAIKAが叫ぶ。本公演のタイトルの答え合わせがここで為された。これがCiONの現在地。感謝と償いを込めて、彼女たちは持てる全てを出し切った。
THIS WILL BE CiON.

ここで最後のMC。「見てわかると思うけど、パシフィコ横浜、埋められなかったです。悔しい」とSHIONが涙ながら笑顔を繕う。先にも述べた通り、CiONは2024年末に路上ライブ関連のトラブルによる活動休止があり、一度決まりかけていたメジャーデビューも白紙になっていた。
「メジャーデビューすることだったり、テレビに出ることとか、タイアップが決まることとか、TikTokでバズることとか、やっぱり全部全部、大事なことと思うけど。できれば全部やりたいことだけど」とSHIONは言葉を続ける。

「でも、今の私たちはもっと大事にしなくちゃいけないことがあって。ちゃんとスタッフさんへの挨拶をしっかりするとか、支えてくれるみなさんに感謝の気持ちを忘れないとか。(中略)そういう当たり前のことを当たり前にすること。今までやってきたことを大事にして、驕らず、当たり前に向き合っていくこと。それが大事だなって思いました」と神妙な表情で語りきった。そして、その先にある”売れる”という夢を信じ、また近いうちにパシフィコ横浜を埋めてリベンジすることを誓うのであった。
楽しくて、熱いCiONだけでは終わらない。悔しい気持ちや、未熟な自分たちに謙虚に向き合う姿勢も含め、「THIS IS CiON」だったのだろうと思う。これをしっかりと誠意の言葉として伝え、CiONはケジメをつけて未来へ走り出す。
本編ラストに披露されたナンバー「心の声」の歌詞に刻まれたフレーズの数々は、彼女たちの葛藤を鏡のように映しながらも、力強く前向きに再スタートを切った逞しい背中をこちらに示してくれた。
最後にサプライズ!

アンコール前の映像ではなんとサプライズが。この春、『しましょ』でavexからメジャーデビューすることが発表される。会場からどよめきが沸く。クラップに導かれ、「しましょ」の初パフォーマンスが始まる。CiONらしさ全開の挑発的な歌詞には、今までのような余裕さえ感じられる。これでいい。これが見たかった。この楽曲は彼女たちにとっての希望の光なのだ。過去、現在、そして未来。全てがつながっていて、全てがCiONを構成している。本公演ではそれを上手く構成に落とし込んだ。鮮やかだったと思う。前向きに明るく、新しい目標へと走り出す姿は本当に美しかった。

音がよくて、ビジュがよくて、スタイルもいい。そこに、困難さえも巻き込んで、セッションにしていく姿勢こそが、Jazzyな音楽に愛されたCiONの生きる道なのではないのだろうか。
THIS IS CiON
@パシフィコ横浜国立大ホール セットリスト
01:Last Order
02:等身大ガール
03:鼓動PARADE
04:エロティカ・セブン EROTICA SEVEN
05:Addiction
06:月逢夜
07:あなたのせい
08:曖昧≠Libido
09:SHAKE
10:Now or Never
11:MAHORAMA
12:S;ckkkkk
13:Noisy
14:心の声
En01:しましょ
En02:サマラブリュージョン2024
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